堀越英嗣
フランク・ロイド・ライトの愛弟子である天野太郎氏より建築を学び、日本が生んだ世界的建築家の一人である丹下健三氏の弟子である。
ライトの有機的建築にも造詣が深く、オーガニックハウスの創生期から共にF.L.ライト財団を訪問し、その際には財団職員から求められて、ライトの建築学校であるタリアセンの学生に特別講義も行っている。
芝浦工業大学で教授として教鞭を取りながら、近年の日本建築を代表する作品を数多く手掛け、その作品からは「新しいことがもたらす価値」だけでなく、「何が普遍的に大切か」を語りかける「時」のデザインでもあり、この「アザレア」はライトの精神性を表した集大成とも言える作品といえる。
アザレア コンセプト
全体の構成はライトがユーソニアン住宅で試みたL型のプランと同様の構成になっており、内部空間と外部空間がほどよく一体化し、さらに家族同士が適度な距離で存在を感じることができることが意図されています。
今、住宅は機能のみを満たすだけではなく、家族同士の絆を深め、生活する豊かさや喜びを感じる場所としての役割が求められています。
それは単に、リビングやダイニングや個室があればいいということではありません。それは、家族一人一人が個人の生活ペースを保ちながらも適度な距離感や、お互いの気配を感じることで一緒に生活している一体感をもてる空間が必要と考えています。
一人でいる場所、集まって会話をする場所、距離を保ちながらもお互いの様子が分かる関係、週末にはお客を呼べることなどです。
子供にとってみれば個室に籠ってしまうのではなく、何となく家族の会話が聞こえたり、何気なく吹き抜けから顔を出すことができることが大切です。そんな立体的といえるような関係がL 型の平面や、吹き抜けに面した子供室や書斎コーナーのあるリビング、母親が全体を見渡すことができる、要にあるキッチンなどで生み出されています。
また、玄関の位置も、庭に面する角から入ることでL 型に広がるリビングダイニングと自然に見る見られる関係があり、さらに室内に入るとキッチンやダイニングと向き合う位置に階段があることで、自然に家族の交流が生まれることが意図されています。
全体のデザインは深い軒を持った屋根によって家族を守り包み込むことが表現されています。
大きく張り出した2 階のバルコニーが大屋根と一体となって深い陰を持つ半戸外空間を生み出しています。このような空間は夏の日差しを遮りながら冬は暖かい日射を室内に導き、梅雨時の雨の日でも窓を開けて自然換気をとることができる等、日本の風土、気候に適しています。自然エネルギーを生かした環境建築の基本形とも考えています。
また使われている材料は極力自然素材、特にレンガタイルと木の質感を大切にしています。レンガタイルの持つ安心感と木の持つ手で触れたくなる肌合いの対比が家具インテリアから外装まで統一されています。
その空間に暮らす人の生活が合わさることで、「個性豊かなすまい」=「有機的住宅」となることが意図されています。




















